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03-11


弱者の立場になってみると

昨日の続きですが,小さな字が判別できないという弱者の立場になってみると,昨日述べたようなこと以外にも気付くことがあります。
リンクが画像で作られていると困るということです。
こう言えば多くの人がすぐに気付いてくれるでしょうが,メニューなどのリンクが画像で作られていると(画像も含めて丸ごと拡大処理ができるOperaは例外として),それは小さなままだ,ということですね。本文文字が自由な拡大に対応してくれていてもメニューが画像できれいに整えられていると,メニューを選択するときにはモニタに顔をこすりつけるようにしなければならないわけです。
実は私のこのサイトにもひとつだけ画像のメニューリンクがあります。RSSを示すRDFの画像です (^^;
なんとなく勢いで画像のリンクにした(RSSを配信するぞ!という気負いがつい画像で見栄を張るという気持ちを誘った)のはまぎれもない事実なので,目が見えるようになったら文字のリンクに直してしまおうと思います。

一般論として,メニューなどのリンクを一切画像で作るなというのはやはり無理があると思います。これだけ普及してしまった「見せる」ものとしてWebページというものを今更変えられないでしょう。
ただ,こういう立場になってみてその不便さはつくづく感じますから,安易に画像でのリンクは作らないで欲しいということだけ言っておきます。
最近はCSSも援用すればテキストのままでもかなりデザインは出来ますから,そういった工夫だけではどうしてもダメなのか,真剣に検討した上で画像を使う決断をして欲しいです。

えーと…私という人間を「知っている」人はもう気付いちゃっていると思いますが,強制的にユーザビリティ・テストに放り込まれたようなこの状況を,実は「いい機会だ」と思って,ちょっとおもしろがっています。
疲れるし,肩も凝りやすいですが,本当にめったにないチャンスなんですよね,理論や頭の中で想像するだけではなく身をもって体験するというのは。
悪くないです。



桜の寿命・象の寿命

出かける用のある妻の人と一緒に,ついでに確定申告の書類を出しに行く。一人で行けないわけではないけれど,やはり誰かが一緒に歩いてくれると安心はする。

帰り道のJRの駅ばりのポスターに見事な桜の写真があった。さすがにこのくらい大きいと何が写っているか少し離れていても分かるし,それにやっぱり桜の色というのは実に独特だ。
花見のために旅行せよと誘うポスターだったわけだが,顔をすりつけるようにして説明文を読んでいたら,桜の木の寿命が平均すると60年程度だということを初めて知った。
漠然と樹木というのは大抵は人間よりは長生きだと思いこんでいたので,ちょっと意外だった。その程度だったのか,と。
そうすると見事な桜並木などというものを維持していくのも,本当はとても大変なことであるわけだ。桜の寿命がその程度だということを今日まで知らなかったので,桜の木は非常に多くの日本人が好きだからことさら大騒ぎして手をかけているような印象を持っていたが,勘違いだった。ようやく腑に落ちた。

ところで昔から,実現不可能だけれど何度も繰り返し空想することのひとつに,子供が生まれると同時にやはり生まれたばかりの子象を連れてきて,一緒に育てる,というのがある。
象の平均寿命は人間よりわずかに短い程度なので,子供と子象は一生共に生きていく,というわけだ。
今日得た知識のおかげで,この空想の幅が広がってしまった。
子供の誕生と同時に桜の苗木を植樹,というのもありになったし,もっと言えば,子供と象と桜を全部同時というのもある。
誰かが,楽しいこともつらいことも色々ありながら人生を過ごしていき,故郷に戻るたびに,そこに自分と同じ年齢の桜の木があり,木の下で同じ歳の象が待っている,という実にシュールな情景も,なかなかに味がある。
まさしく実現不可能だけれど,いつかそういう設定で「大人の童話」を書いてみたい気はする。






©akio ishizuka