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04-21


投げ技

投げ上げているこのサイズではとても分かりにくいと思いますが,中央わずかに下で宙を舞っているのは鉄パイプです。落っことしているのではなく,下の人が投げ上げています。
多分,建築現場の足場を組むためのパイプです。
実に上手いもんです。ずっと見てましたが一度として失敗しません。
いや,失敗するようならそもそも危なすぎてやらないんでしょうが,投げ上げた鉄パイプがちょうど上の人の手元でフワッと速度を落として宙に浮くあたりの調整具合が「手練れ」って感じです。
取次さんの「結束投げ」も思い出しました。
結束の帯を外してしまったあとの本の固まり投げるわけですからある意味より高度な技ですが,鉄パイプのように失敗したら怪我をすることもあり得るという程の危険度はないので,とりあえず技レベルとしては同等くらいということで。
って,別に判定しなくてもいいんだけれど。

※業界外の方への解説「結束投げ」(他の人がなんと呼んでいるか知りませんが)
本は大体5〜10冊くらいをビニールや紙の帯でひとまとめにして運搬されます。
取次(トリツギ:本の問屋)の店売(テンバイ:書店専用の直売所のような所)にこれを積み上げる時,一人が搬入されたものの帯を外してそのまま放り投げ,もう一人がそれをキャッチして展示場所に積み上げる,というやり方で作業することがあります。
すでに帯が外れているにもかかわらず,本がバラバラにならずに宙を飛びキャッチされるこの技を初めて目にするとちょっと感動します。コミックスなど薄いものは一束の冊数がもっと多いので,一気に15冊とか20冊とかが宙を飛びます。


ふたつのスピカ

「ふたつのスピカ」表紙ようやく読みました。
ふたつのスピカ』柳沼行(メディアファクトリー)
んー。いいですな。
こういう直球勝負のコミックスというのは実に久しぶりでやられました。
ツッコミどころもありそうな気はしますが,ツッコミを入れながら読むとアスミに対して申し訳ないというか,自分がとても嫌なやつになったような気分になるので,とりあえず素直に読みましょう。ライオンさんがマリカにも関わっていたことが分かるあたりで「オイオイ,おいしいとこ持って行きすぎ」とか思いましたが(笑)

作者の柳沼氏は30歳になったばかりのあたりですか。
多分これは,もっと若くても歳を重ねても描けないあの時しか描けなかった作品というやつになりますね。場合によっては多少の傷には目をつぶってでも,ぜひ一気に完結まで描きあげて欲しい。そうすれば名作になるでしょう。






©akio ishizuka