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11-15


電子書籍ふたたび

ソニーなどが電子書籍配信会社設立 松下陣営と競合asahi.com : ネット最前線
2004年は“電子書籍元年”に? ソニーが本格参入ZDNN:Top
等々・・・。

個人的に期待度が薄いので取り上げるのはやめようと思っていたんですが,09/12の日記の時も投げやりにしか書いてないので,とりあえずもう少し書いてみます。

個人的意見

出版界全体を考えるのではなく,あくまでも本好きの一個人としては,以下のようなことが実現されないと積極的に利用する気にはなれません。

文庫本サイズ

四六判サイズを持ち歩く気にはなれません。上着などの大きめのポケットならスッポリ入るというサイズが大好きですし,表紙が硬いのも嫌です。値段が高いか安いかではなく,その理由で,最近はめったに単行本を買いません。もちろん,絶対に読まなければと思う本が少ない,ということもありますが,最大の理由は携帯性です。
ですから電子書籍用端末が重さも大きさも文庫本にごく近くなければ。
ただし,文庫本では単行本の時の図版が削られていたり,縮小されていて判別しにくかったりという問題はあるので,電子端末であることの利点をいかして図版などがズーム出来るようになっていると嬉しいかもしれません。
図版だけでなく文字の大きさやフォントの種類も選べるようになっていて欲しいですね。大切なのは文字の大きさだけではなくフォントの種類も,というところ。

お風呂で読める

上の「携帯性」という要求とも関係しますが,私はかなりしばしばお風呂で長時間の読書をします。30分以上やっていることも珍しくありません。ですから電子書籍用端末は防水処置がなされていないと困ります。
もちろんうっかり落としたり,ということに対するタフさも必要なのですが,電子書籍用端末内部ではおそらく常時稼働しているパーツというのがほとんど無いでしょうから,この辺はあまり心配していません。画面が割れたらもちろん困りますが,まあそれは本当に事故ということであきらめがつくでしょう。

本の権利だけを買う

本は果てしなく増え続けます。最近はどんどん売ってしまう人も増えているようですが,本好きの人のかなり多くはおそらく手放さずにため込んでいるでしょう。たかが文庫本と言えどもいつ絶版になってしまうか分からないからです。
本を手元にためずに,しかも本を手放さないということを実現したい。
そのためには,ある本の権利だけを購入するという方式をぜひ取り入れて欲しいです。一定期間だけの権利という方式は,あまり本に執着しない人にはいいかもしれませんが,本に執着する人や,現実に何ヶ月・何年にも渡って多くの本を参照しながら働かなければならないような人には全く役に立ちません。
また,メモリデバイスに個別に保存するという形式も,正直なところ,あまり感心しません。増えてくれば(本そのものを保存しているよりはマシですが)結局場所をとる上にどこになにがあるか整理がつかなくなっていきます。
権利を購入したら,以後いつでも必要な時に,何度でもデータをダウンロードできるということにしてもらえれば,手元にデータを置くことなく沢山の本を(事実上)所有出来るようになります。


プレゼンテーションが下手すぎ

上記したようなことが全て実現されるようになれば,私も文庫本から電子書籍用端末に乗り換えるでしょう。コストの絡みが一番問題でしょうが,技術的にはそれほどは難しくないことばかりのはずです。
どのようなメリットを前面を打ち出すかということに関して,どんな電子書籍用端末もひどく及び腰です。関係者の中にはもちろんちゃんと事態を把握している方々もいると信じますが,なんだかユーザ不在のままただ単にデファクトスタンダードを勝ち取ろうということのみが最優先されているようにしか見えません。そんなことはないんだ・・・という声もあるでしょうが,そのようにしか見えないというところこそが問題なのです。つまりプレゼンテーションの失敗です。
たったひとつだけでいいから今現在のユーザを「おおっ」とうならせる機能を打ち出し,それを軸にして,電子書籍用端末の未来図(読書の未来図)を力強く描いてみせるということをしなければ流れは作り出せません。

コンテンツは?

ゲーム機で完全に証明されているように,新しい端末を普及させるためには魅力的なコンテンツが必要です。任天堂は新しいゲーム機を出すたびに必ずマリオがらみの新ゲームを出してきましたし,プレイステーションはNo.1ゲーム機に手が届きそうになった時期に数ヶ月で100タイトル以上のゲームを一気にリリースさせるという怒濤の攻勢をかけました。
紙媒体の出版におもねるのではなく,新しい電子書籍用端末で先行発売される人気作家の新作や人気漫画家の新作といったようなキラー・コンテンツを投入しないと,「よし,思い切って買ってしまうか」という決断に踏み切る動機を作れません。
この辺は勇気を持って決断して欲しいところです。
電子書籍用端末に提供した時点では赤字でも良いのです。その後書籍として発売した時に元を取れば良い。どうせ当分の間紙媒体でしか本を読まない人々の方が圧倒的に多いままになるはずですから,そこでも必ずある程度の売り上げは立ちます。

電子書籍用端末に向くコンテンツ/向かないコンテンツ

将来的にはこれはある程度分かれてくるでしょう。
しかし今の時点で何が向くのか向かないのかを判断するのは難しいです。非常に長い期間紙(およびそれに準ずるもの)に記された文字を読む,という行為が続いてきたので,違うやり方の中で何が起こってくるかを予測するのはとても難しいです。
週刊誌などは紙ベースの発行はやめてしまって電子書籍用端末に完全に移行する方が,流通や地球資源のことを考えても,ずっと良いかもしれない,と漠然と思ったりもしますが,本当にそれがいいのかどうか,自信を持って断言は出来ません。
これは,実際に稼働してから見極めていくしかないでしょう。

現時点で私が電子書籍用端末に関して思っていることは,以上のようなことです



QuickTime も RealPlayer も捨てる

QuickTime も RealPlayer もいろいろな意味でうざいので,全部アンインストールしてやりました (  ̄ー ̄)
そしてMedia Player Classicを常用のメディアプレイヤーにして,QuickTime Alternative と Real Alternativeをインストールすることで,QuickTime も RealPlayer も使わずにその形式のファイルを再生できるようにしてみました。ブラウザ内で表示される時のプラグインも組み込んでくれるので,その手のページへ行くと実際には存在していないプレイヤーでちゃんと表示される様子がちょっと笑いを誘います。
本家と完全互換というレベルまでの再現性はないという話ですが,私的にはマルチメディアにすごくこだわるというほどではないので,これで十分です。マシン内部をいろいろいじくり回されるよりは,マシ。






©akio ishizuka